【小谷眞三の仕事】と 私の倉敷ガラス。

*最初に追記です*
ブログで紹介した水差しの写真を、詳しい方に見ていただいたところ、やはり小谷さんのものではなさそうとのことでした。失礼いたしました。とても気に入っているのでこれからも大切に使おうと思います。30年以上前に倉敷で売られていたというこの水差し、どなたか職人さんに心当たりの方がいらっしゃいましたら、教えていただけるとうれしいです。

 

昨日読んだ本。

『小谷眞三の仕事』

すべての工程を1人で行うことで知られる、倉敷ガラスの小谷眞三さんがガラスに関わって50年の記念に出版された本です。

小谷さんの今までの作品の写真と、小谷さんの手記、そして小谷さんに関わる方からの寄稿からなるボリューミーな本。

民藝のガラス好きには一度読んでいただきたい、読む時間がなければパラパラと写真を見るだけでも幸せな本です。

今更ですが、小谷眞三さんは元々クリスマスツリーのオーナメントのガラスボールを作っている凄腕(球の大きさをミリ単位で)職人さんでした。

私はここまでは以前から知っていたのですが、本に書いてあったのはその後のコップ作りの大変さ。(他の本だと貧困に負けず~などちょっとぼかしている)今までと全く違うジャンルのものに飛び込み、食らいつき、何度もなんども失敗しては挫折したり、でも決してやめなかった小谷さん。プロジェクトXも真っ青なドラマ。

まず、今までの仕事を手放して、お金になるかもわからないことに挑戦していったところが、すでに真似できない。(もちろん勧め続けた周りもすごいけれど)

多分、初めて作ったコップ、コップとは言えないコップを見たときの外村先生の喜びや、全然できない悔しさが、魂に響いたのかしら…と当時を想像しながら読み進めるとワクワク、ドキドキハラハラします。

特にそれが小谷さん自身の口で語られるから、より強く、熱く迫ってくるものがあります。

小谷さんに関わった方はみな、そのお人柄と、運があったと書かれているのですが、私には、小谷さんの仕事への鬼気迫る気迫が運を引き寄せて、しかもそれをがっちり掴む腕があったのだと思います。

面白いのは、小谷さんの印象を気難しいと書かれてあったり、気さくだと書かれていたり、色んな印象があるのだということ。これは、根っからの職人であり、妥協を許さないところや、色々な波の中、自分の立場や地位、環境が変わって行く時代ごとに小谷さんにも変化があったのかしらと推察しました。

私の手元にある小谷さんの作られたガラスは、コップに小鉢、角瓶に、胴丸の首飾りのついた花瓶に、ピッチャー(これは小谷さんのものかわかりませんが、花瓶と色が一緒)

いいなぁ、いいなぁと言い続けていたら、集まって、私の生活を彩ってくれています。

小谷さんのコップ(グラスではなく、ほんとコップという名前がしっくりくる)は使いやすく、いままでたくさんのコップを使って来たけれど、このコップの口当たりの良さに衝撃を受けました。

小谷さんの作品集『小谷眞三の仕事』に「私の作るコップは、単純で機能的で使い始めるとやめられない、ものが入るとよくなる器です」というコトバがあり、ぶんぶん首を縦に振りました。

私は穿った見方を基本するので、こんなに単純なのに人気なのはなんでだろう?と手にするまでは思っていのですが、使ってみるとすぐに理由がわかりました。そしてこのコップを毎日手放せなくなり、夜中の授乳の後にもこのコップで水を飲んでいます。思いの外軽く、口にあたる部分は限りなく滑らかで、少し肉厚で飲み物がするりと口の中に落ちてくるのです。これで飲むと、ただの水でも楽しく、おいしい。使うたびに すごいなぁ…と思うガラスのコップです。そして自然のリズム(このモールは針金を入れた型で吹いてからキュッと締めるようにしてつけられるとてもおおらかで自然な模様)の器をてらっていない、人を緊張させない模様、クリアな色はどんな飲み物でもおいしそうに見せてくれます。

胴丸の花瓶も、ぷくっと膨らんだ風船のような勢いのある胴体、そしてひゅうっと伸びた首に、蛇のように艶かしく巻き付いた首飾り。意外とどんな花も受け止めてくれます。(以前買おうとした時には、花を合わせるのが難しそうと敬遠したのですが、そんなことなかった!)プツプツと入った気泡も、口部分のぽってりとした感じも、全部全部ひっくるめて美しい。そして水が意外とたくさん入るので、花持ちも良いです。何より深い海の中の色が見ていてちっとも飽きさせません。昔シュノーケリングで見た、10メートルはあるのに海底までばっちり見えた美しい海の景色を思い起こさせてくれます。どこまでも澄んでいて、でも見えすぎて少し怖い。そんな感じ。

※下記のピッチャーは小谷さんのものではなさそうです。失礼いたしました。
しかしお気に入りなので引き続き掲載させてください。

ピッチャーは花を生けてもいいし、レモン水を入れても涼やか。夏にはもちろん見た目も良いのだけれど、曇った肌寒い日に出窓に置いてあるのを見ると、はっとするほど美しいです。

光によって、見える色がだいぶ違うのもとても楽しい。

(もし、このピッチャー小谷さんのじゃないよ~や、小谷さんのものとして見たことあるよ~とご存知の方がいらっしゃったら、ぜひコメントをいただけると嬉しいです。写真集を見ても載っていない…元の持ち主の方は30年以上前に倉敷で倉敷ガラスとして購入したそうです。この色に惹かれたのだそう!私も惚れ込んでいて作者を探しています)

角瓶は、やさしいちょっと気だるそうな、バリ島のビーチから見る海の色によく似ていて、白いマーブル模様が上品。私的にはこの線がとても好きです。これに梅酢とか美味しい日本酒とかいれたいな~ ちょっとがたつきがありますが、これもご愛嬌。

 

小谷さんのガラスには、ポンテ跡という吹いた跡が残っています。綺麗に消す職人さんもいらっしゃいます(星耕ガラスさんは綺麗に滑らかにしている)が、なんとなくこれはこれで好き。久野さんは 小谷さんのガラスは息吹きであると評されていましたが、私はこのガラスたちは小谷さんの息をまさに吹き込まれて(神様みたいね)この世に生まれ出てきた子たちなのだなといつも見ては感じています。そのヘソの緒の跡が、ポンテ跡なのかもしれません。

小谷さんのガラスには、ゆらぎや傷、気泡があり、工業製品のような規格性はありません。ですが、それを遥かに凌ぐ温かみの良さというか、使うと癖になる良さがあります。

毎日使ってはウフフと眺める、私の宝物のひとつなのでした。

倉敷ガラス:倉敷の小谷眞三さんが始めたスタジオグラス。もとは水島ガラスと呼ばれていたそう。現在は息子の小谷栄次さんと製作されているそう。フェイスブックページで個展情報などを見ることができます。

倉敷ガラスのリンク :https://www.facebook.com/glasskodani/
(掲載許可ありがとうございました!)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA